2024/03/14 13:46
時折、頭の中の一室が現実に出現するときがある。

現実と空想の狭間で採集した不思議な植物を標本に仕立てては、保管している私の秘密の部屋。
色水を植物に吸わせたいたずらのような実験、
夕暮れ時窓に差し込む赤い光、
古い図鑑の密やかな匂い、
静寂の中で聞こえるわずかな音、
いくつも拾い集めた石の手触り、
いつかどこかで見た草花の形。
誰もが持っている幼少期からの多くの経験と記憶。
そこから生まれる既視感が繋がり積み重なり、
この不思議な植物達を、
そこに“在る”ものとして空想させてくれる。
いつか本物になることを願って、
今日も採集に出かけます。
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私の作っているものは一体何なのだろうか。
私はどこにいればいいのだろうか。
一人もんもんと悩んでいる時にSICFに応募しました。
ジャンルを問わないという点で、とても自由に自分を表現できたました。
SICFの期間中のみ、ひっそりと出現した私の頭の中の一室。
あちらこちらに幼少期からの記憶の欠片が散りばめられている空間に、空想植物標本を配置しました。
作品が一見埋もれてしまいそうですが、それでいいのです。
記憶と作品は常に隣同士にあって、過去や現在を行き来できる装置のようなもの。
多くの方にご覧頂き、私のこの感覚を共有できたことが一番嬉しかったです。
私の頭の中に遊びに来てくださりありがとうございました。
またいつかどこかに、出現するかもしれません。